明石瞳 写真家|インタビュー
3回目の挑戦でグランプリ受賞。待望のグランプリ個展開催!
一年前の第23回写真『ひとつぼ展』は大接戦の審査会になりました。明石瞳さんは、第19、21、23回と入選し、ついにグランプリを受賞。初めの2回がモノクロ作品、3回目にはカラーで、大胆にも1点に絞って展示。審査員の小林のりおさんは「こってり派の代表格」と分析。「もっと見てみたい」と原耕一さんが見る側から発言すれば、同じ写真家として「自分には撮れない」と尾仲浩二さん。ずっと明石さんを見守ってきた飯沢耕太郎さんは「受け入れようよ」。
作品やプレゼンとは、ちょっと印象が違う明石さんの素顔。照れながらも静かにお話くださいました。
泡沫の光
個展のタイトルは「泡沫(うたかた)の光」。自分の写真って、儚いなって思うんです。カップルの幸せなところを撮っているのに、なぜか哀しくて、儚い。ずっと続くこともあるけど、離れてしまうことだってあるから、消えちゃいそうって。この一瞬を、時間を留めたいって思うんです。
カップルには昔から興味があって、お互いがお互いを好きでつきあう、お互いの人生にかかわるってそんな人に出会えたなんてすごいなって思います。
カップルを撮っていると、自分までほんわかします。撮りながらドキドキして、あー幸せって思う。自分までつき合っている気分になるんだけど、帰り道ひとりになって、違うじゃんって(笑)。
これまで
写真は小学校の頃から。家族で旅行に行った時に「写ルンです」で電車の中からかっこいい洞窟を撮った。すぐに通りすぎるからほんの一瞬の出来事なんだけど、でも写真だったら、あの時の一瞬が永遠に自分の手の中にあるよ、って思ったらグッときた。写真っていいなって。人と話すのが苦手だったので、風景ばっかり撮っていました。写真家は人と喋らなくてもやっていけそうだなって思い、小学校の文集は「風景写真家になりたい」って書いた。
専門学校に行くときは、親に「自分は天才だし才能あるから」って言って、自分自身を後に戻れない状況をつくった。これは結構いつものことで、先に宣言して前に進むしかなくして、自分を奮い立たせ写真と向き合っていました。でも全然思ったとおりにはいかなくて、2年生の夏、とうとう最悪に落ち込んだんです。人は怖くて撮れないし、何してるんだろうって。4日間、悶々として、次の日、突然友達に撮らせてって、かたっぱしから電話してたんです。そしたらこういう写真になっていて、自分でもどうしたんだろうって。先生からも「どうしたの」って言われたけど、自分でもわからなかった。
この時期に先生、友人、その他の人との係わりから自分の写真を見つけられた気がします。
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被写体が一番大切
被写体は色っぽい人が好きなんです。寝顔とかも、いつもの顔と違って色っぽいから撮りたくなる。撮った写真と自分にギャップがあるから会うとよく驚かれます。
被写体のことはこんなに踏み込んで撮るのに、自分は何もしないって時々言われると、すごく気になる。ネタなんでしょって言われたり。そんなふうに思ったことは全然なくて、自分なりの愛や尊敬の気持ちをもって撮っているんです。
今の自分にとって、好きだと思う気持ち、尊敬と感謝、そういうのが愛。明石になら撮られてもいいって言われると嬉しくて泣きそうになる。相手がいなかったら絶対撮れない写真だから、被写体の人が一番大切なんです。だから、新しい人も撮っているけど、一度撮った人はこれからもずっと撮りたいと思う。切れたりしないでずっと繋がっていきたいんです。
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明石瞳
千葉県生まれ。和洋女子大学服飾生活学科卒業。東京ビジュアルアーツ卒業。第23回写真『ひとつぼ展』グランプリ受賞。
出版物 『紅い眩迷』 FOTO FILE PRESS
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